民法のお勉強 第14日

※一般財団法人の設立

(1)設立者による設立


1.定款の作成および公証人の認証(152条~155条)

・設立者が、152条の記載事項を記した定款を作成し、それに設立者(複数ならば全員)が署名か記名押印。

⇒公証人の認証を受けなければ効力はない。


※記載できない事項

・設立者に余剰金や残余財産を分配する旨や、評議員の選任や解任を理事や理事会ができる旨、評議員会の決議事項を他の機関が決定できる旨の定款の定めは無効である。


2.設立者による財産拠出の履行(157・158条)

・設立者は、定款認証後に遅滞なく、銀行等の払込みの取扱いの場所に財産を拠出(もしくは財産に代わる財物の給付を)しなければならない。

⇒なお設立者の同意で第三者対抗要件は法人設立後に備えてもよい。

※生前の処分で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の贈与の規定を準用する。

※財団法人はいわば"金の集まり"なので、財産の拠出(もしくは財産に代わる財物の給付)がなければ成り立たない。


3.定款の定めに従い、設立時評議員、設立時理事,設立時監事(設立時会計監査人を置く場合はその者)を選任

・財産の拠出の履行後に、設立時評議員、設立時理事と設立時監事(会計監査人を置く場合はその者も)を、定款の定めた方法で選任する(定款でこれらの者を指定していなかった場合)。

※設立時評議員と設立時理事は、それぞれ三人以上でなければならない。

⇒65条1項や68条1・3項にその欠格事由や適格事由がある。

4.設立時理事と設立時監事による、設立手続きの調査(161条)

・設立時理事と監事は、

①財産の拠出の履行が完了していること

②設立手続きの際、定款に法令違反がないかを調査。

⇒不当事項がある場合は、設立者にその旨を通知する必要がある

5.設立の登記申請(162条~165条)

・設立時理事の過半数をもって選出された設立時代表理事は、主たる事務所の所在地において設立の登記を申請する

※法人成立前にも、設立時理事の過半数で設立時代表理事を解職できる供出された財産は、一般財団法人の成立の時からその法人に帰属することになる。

※設立者は、法人成立後は、錯誤を理由として財産の拠出の無効を主張したり、詐欺や強迫を理由に財産の拠出の取消ができない

(2)遺言による設立

1.設立者の遺言による一般財団法人設立の意思表示と、定款記載事項の遺言での定め(152条2項)

2.遺言執行者による定款の作成および公証人の認証(152条~155条)

・遺言執行者は、遺言の効力が生じた後、遅滞なく遺言に基づいて定款を

作成し、署名か記名押印しなければならない。

3.遺言執行者による価額300万円以上の財産拠出の履行(157・158条)

・遺言執行者は、て定款認証後に遅滞なく、銀行等の払込みの取扱いの場所に財産を拠出(もしくは財産に代わる財物の給付を)しなければならない。

⇒なお第三者対抗要件は法人成立後に備えてもよい

※遺言で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の遺贈の規定を準用する


4.定款の定めに従い、設立時評議員、設立時理事,設立時監事(設立時会計監査人を置く場合はその者)を選任

※設立者による設立と同じ。


5.設立時理事と設立時監事による、設立手続きの調査

※設立者による設立と同。ただし不当事項の通知は遺言執行者にする


6.理事による設立時代表理事の選定と、設立時代表理事による設立の登記申請

・設立時理事の過半数をもって選出された設立時代表理事は、主たる事務所の所在地において設立の登記を申請する

※拠出された財産は、遺言の効力が生じたときに財団に帰属したものとみなされる。

※相続人は、法人成立後は、錯誤を理由として財産の拠出の無効を主張したり、詐欺や強迫を理由に財産の拠出の取消ができないとされる。


※一般財団法人設立の責任

①設立者や設立役員の責任

・設立者、設立理事、設立時監事は、法人設立について任務を怠っ時は、その法人に対して生じた損害を賠償する責任を負う(23条1項、166条1項)

・職務を行うについて悪意か重過失があり第三者に損害が生じた場合は、該当する設立時社員などは、その損害を賠償する責任を負う(23条2項、166条2項)

⇒責任のある者が複数の場合、それらの者は連帯債務者となる(24条、167条)

※これらの責任は総評議員の同意がなければ免除できない(25条、168条)


②設立者のみの責任

・設立時社員(財団の場合は設立者)は、法人が成立しなかったときは、連帯して、設立に関する行為の責任を負い、支出した費用を負担する。


(3)定款の作成

・改正以前に設立された財団法人については寄附行為の言葉がまだ使用されていたが、改正により今後定款として統一されている。

① 目的

② 名称

③ 主たる事務所の所在地

④ 設立者の氏名又は名称及び住所

⑤ 設立に際して各設立者が拠出をする財産及びその価額

⑥ 設立時評議員,設立時理事及び設立時監事の選任に関する事項

⑦ 設立時会計監査人の選任に関する事項

⑧ 評議員の選任及び解任の方法

⑨ 公告方法

⑩ 事業年度

【参考】

・財団法人の寄附行為は社団法人の定款と異なり、社員の資格の得喪に関する規定は必要的記載事項でないことに注意する必要がある。

⇒なお、財団法人の本体は一定の財産であるので、社員に関する規定がないのは当然である。

※また注意すべきは、設立者が、名称・事務所又は理事の任免の方法を定めないで死亡したとしてもそれを裁判所により補充する方法が認められている。

・目的と資産に関する定めがあれば、

⇒公益目的のために寄附された財産を実体とする財団法人の実体があるといえ、それ以外の規定は財団にとって本質的ではないので、死者の意思を実現するためにも補充を認めている。

・生前処分としての寄附行為は、相手方なき単独行為であるが、それが、法人を創設しつつ財産権を無償で処分するという形を有している

⇒生前行為による贈与の規定、遺言による場合は、遺贈の規定をそれぞれ準用する。

・寄附行為による寄附財産は、設立許可の時に法人に帰属する。

⇒遺言による寄附行為の場合は、遺言が効力を生じた時すなわち寄附行為者の死亡の時から法人に帰属するものとみなす。

※ただし、設立はあくまで許可制であることに注意。


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