民法(総論)のお勉強 16日目

第三節 主物と従物
※主物と従物との関係

1、従物は、

独立の物でありながら、客観的、経済的には他の物(主物)に従属して、その効用をたすけるものをいう。


2、従物の要件として以下の物がある。

① 主物・従物共に独立の物と認められること。土地・建物の構成物となっていないもの。

⇒石、砂利等は土地の構成部分であり、従物ではない。また、ベランダ等は建物の構成部分であり、障子、襖、畳などは従物である。

② 主物の常用に供されること。 

⇒すなわち、社会観念上、継続して主物の経済的効用を助けるものであること。

③ 特定の主物に附属すると認められる程度の場所的関係にあること

④主物・従物ともに同一の所有者に属すること

※この要件に関しては抵当権の及ぶ範囲で問題となるそうなので、一応頭にいれておくこと。


※従物の取扱い

1、従物は主物の処分に従う。

(87条2項)

⇒すなわち、従物は主物と法律的運命をともにする。

2、売買、賃貸その他の契約がなされた場合に、その契約に別段の意思表示がない限り従物は、主物の処分に従う。

3、主物について抵当権が設定された時は、本条の解釈として、抵当権は従物に及ぶとするのが判例の立場である。

⇒したがって、抵当権設定当時の従物には当然に抵当権の効力が及ぶことになる。

(抵当権の効力が及ぶ範囲は370条)

4、但し、質権設定のように、目的物の引渡しを要する法律行為においても、また、従物のみを処分することも可能である。

5、主たる不動産について登記があれば、その従物たる動産についても、物権変動が公示されたものとして取り扱われることになる。

⇒たとえば、宅地の抵当権設定による公示は、その宅地の従物たる石灯籠などにも及ぶことになる。

※したがって、抵当権者は、石灯籠についても抵当権の効力が及ぶことを第三者に対抗することができる。

※主物と従物に準ずる関係は、物と権利又は権利相互間にも成立する。


※では従たる権利とはどのように解するべきであるのが学説をみてみる。

1、Aが所有する土地の賃借人Bは、借地上に所有する建物をCに売却したが、この場合建物の買主Cは土地賃借権をも取得するだろうか。

2、87条は有体物たる従物に関する規定であるが、賃借権のような無体物にも類推適用されるかが問題となる。


※論文等に大事なので覚えておこう。

α 肯定説(判例、通説)

※87条2項は、従たる権利についても準用される。

※87条2項の趣旨は、従物を主物と同様の法律的運命に従わせることによって、社会経済的利益を全うさせるという点にあるが、かかる趣旨は従たる権利の場合にも妥当する。

※この見解によれば、たとえば借地上の建物を譲渡した場合には、特約がない限り譲受人は借地権を取得することになるが、このように取得した借地権を土地所有者に対抗することができるかどうかは別問題である。

  

※関連判例

1、借地上の建物に設定された抵当権が実行された事案について、抵当権の効力は敷地の賃借権にも及び、賃借権は競落人に移転するとした。

(最判昭40.5.4)

2、元本債権について転付命令があった場合について、将来の利息債権も差押え債権者に移転するものとした。

(大判大10.11.15)

3、今の時点で理解していることは、

① 従物は主物の処分に従う。

② しかし、任意規定なので、従物を主物の処分に従わせないことも可能。

③ 主物と従物の関係は有体物間だけでなく、賃借権等の無体物についても適用可能とする。


第四節 元物と果実

1 元物と果実の意義

・・・・・

88条 

物の用方に従い、かつ、物の本体を害することなくして産出される経済的な収益を果実といい。その果実が生じる物を元物という。

・・・・・

※果実についての規定

1、天然果実とは、元物からその経済的用途に従って、自然に収取されるものをいう。

主に、玉子・牛乳・野菜等である。

2、法定果実とは、元物を他人に使用させた対価として収受されるものをいう。

主に、家賃・地代・利息等がある。

2 果実の帰属

・・・・・

89条1項 

天然果実は、それが元物から分離するときにこれを収取する権利を有する者に帰属する。

・・・・・

1、権利を有する者については、所有権者・地上権者・永小作権者・不動産質権者・賃借権者等である。

・・・・・

89条2項 

法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じ、日割をもって前後両権利者に帰属する。

・・・・・

1、家賃・賃料等は性質上これを分割することが可能であるし、そうすることが公平に合致するからである。

2、これは帰属権利者について定めたものではなく、内部関係を定めたものと解するのが通説である。これは任意規定なので、当事者間で、この規定と異なる特約をすることもできる。


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