会社法のお勉強 第4日

2 営利法人

1、営利を目的として事業を営む法人のことである。

⇒事業活動によって得た利益を構成員に分配することを目的とする構成員への利益分配を予定しているため、常に社団とされる。

2、営利社団法人のことを会社といい、会社法は株式会社、合名会社、合資会社、合同会社を定めている。なお、会社法における会社の営利性に関しては論争がある。


第二章 会社の種類

1 合名会社・合資会社・合同会社・株式会社

1、会社法の会社の種類は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類。合名会社・合資会社・合同会社は、「持分会社」と総称され、横断的な規制の下に置かれる。

2、会社法施行前の旧商法では、合同会社は存在せず(会社法で新たに導入されている)、有限会社法で有限会社が認められていた。会社法施行前に設立された旧有限会社については、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律により、会社法上の株式会社の一種として扱われ、「有限会社」の名称を用いるなど一部に特例的な取扱いがなされる。


①合名会社

1、無限責任を負担する社員のみから構成される会社形態である。

⇒会社法においては持分会社の一類型とされている。合名会社の商号中には、「合名会社」という文字を用いなければならない(会社法第6条)。

・・・・・

第6条【商号】

① 会社は、その名称を商号とする。

② 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。

③ 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

・・・・・


②合資会社

1、合資会社は、法人格を有するのが特徴であり、会社法においては、持分会社の一類型とされる(575条1項、576条1項5号)。なお、会社法施行に伴い改正される前の商法においては146条に規定があり、合名会社の変種として規定されていた。

2、合資会社にあっては、有限責任社員であっても、株式会社などの社員(株主)のような間接有限責任ではなく、会社債権者に対して直接責任を負う直接有限責任社員であるとされる。ただし、会社に対し出資を履行した場合は、その価額の分については間接責任となる(580条2項)。


③株式会社

1、細分化された社員権(株式)を有する株主から有限責任の下に資金を調達して株主から委任を受けた経営者が事業を行い、利益を株主に配当するという、法人格を有する企業形態である。このような企業形態は各国で見られる。


④合同会社

1、平成18年施行の会社法により新しく設けられた会社形態である。

⇒合同会社の内部関係はシンプルな設計であり、社員全部が有限責任ということもあり、新規設立が認められなくなった有限会社に代わって今後多く設立されることが見込まれる会社形態でもある。


2 人的会社・物的会社

※人的会社

1、社員と会社の関係が密接で、社員の個人的信用や個性に重点が置かれている会社。

⇒信用の基礎が出資や財産ではなく人にあるという意味で、合名会社、合資会社のことを指す。株式会社を指す物的会社と対比する言葉として使われる。

人が有する知識やノウハウ、技術こそが「利益を生んでいる」という考え方である。


※物的会社

1、会社と社員の関係が希薄で、資本金といった会社財産に活動と信用の基礎が置かれている会社。

⇒株式会社および有限会社を指す。無限責任社員が信用の基礎となる合名会社、合資会社を指す人的会社と対比して使われる言葉である。

2、なお、有限会社は、会社法の施行に伴って、すでに廃止されているのが現状である。この物的会社においてはその財産はあくまでも会社の財産であり、社員のものではないとされる。

3、そうなれば負債も同様、会社の負債であって、社員の負債ではないという考え方が成立する。それが有限責任の根拠となるので出資額を限度とする有限の間接責任を負うに過ぎない社員、株主のみから構成される会社とも言える。


3 一般法上の会社・特別法上の会社

※一般法上の会社

1、一般法(会社法)の規定のほかに、さらに特別法の規定が適用される会社を特別法上の会社とよぶ。

例)銀行法・保険業法

※特別法上の会社の中には特定の会社のために存在する法律がある。

例)日本電信電話株式会社等に関する法律に基づく日本電信電話株式会社


4 親会社・子会社

※子会社

1、「子会社」とは、当該他の企業をいう。つまり他の企業によって、意思決定機関を支配されている企業である。

⇒これを支配力基準という。

※なお、この分類には「子会社」と「完全子会社」の2種類があるが、子会社の場合は、親会社とそれぞれ株式が独立しているため、親子上場も可能であるとされる。

2、一方、完全子会社は、完全親会社と株式が一致している(つまり、B社がA社の完全子会社になると、B社の株式が株式交換によって、全てA社の株式に置き換わる)。

⇒そのため、企業が他の企業に完全子会社化されると、上場廃止となる。


※親会社

1、具体的には、子会社の議決権の過半数を所有していること(持株基準=形式基準)、または議決権の40%以上50%以下を所有している場合でも、子会社と緊密な関係があることにより、自己の意志と同一の内容の議決権を行使するものが議決権の過半数を占めている場合(支配力基準=実質基準)や、役員等が取締役会等の構成員の過半数を占めている場合(支配力基準=実質基準)なども親会社という。


5 公開会社

1、条文上は、「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」をいう。(会社法2条5号)と定められる。

2、講学的な意味とは異なって、会社法においては、

発行する株式のうち1株でも譲渡制限を付していない株式を発行する旨の定款の定めがあれば公開会社である。

3、会社法においては、従来の有限会社形態の会社も含めてすべて「株式会社」とするため、従来の商法上の原則形態であった株式会社が「公開会社」としてあらたに定義されることになっている。

4、また、発行するすべての株式に譲渡制限の定款の定めがある会社を公開会社でない会社(非公開会社)という。


かいひろし法律の部屋

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