刑法のお勉強 第5日

※久しぶりの投稿です。

この頃は、ノートを中心に勉強していて投稿が少し怠り気味でした。

御了承ください。


2 罪刑法定主義の沿革

(1)外国

1、罪刑法定主義の根本精神は、イギリスのマグナ・カルタに遡る。その中で、国民の手になる「法」によって権力、特に刑罰権を制限しようと定めたものとされる。その後に、権利請願や権利章典などに受け継がれて、やがてアメリカに渡って、1774年のフィラデルフィアを初めとする諸州の権利宣言を経て、ついにアメリカ合衆国憲法において成文化されることになる。

2、英米においては刑事手続きの面で罪刑法定主義が採用されたが、ヨーロッパ大陸では実体刑法上の原則とされ、1789年のフランスの人権宣言を経て、1810年のナポレオン刑法典において明文化されるに至ることになる。このような経過をたどって、以来ほぼ全ヨーロッパ諸国の刑法に採用されることで罪刑法定主義は「近代刑法の大原則」として承認されるに至ったとされる

※英米法の原則

1、英米法では、伝統的に罪刑法定主義の観念を有しておらず、裁判所は、成文法で禁止されていない行為であったとしても、コモンロー上の犯罪として、適当な刑罰を科すことができる。この法理は、現在でも、イギリスやアメリカの多くの法域において維持されている 部分である。 

2、コモンロー上で「犯罪」とされる行為の多くは、「先例」によって古くから「犯罪」とされた行為であるが、「先例のない行為」であっても、新たに「コモンロー上の犯罪行為」として認知され、刑罰を科されることがある。

3、英米法においても、「事後法の禁止」という考え方は一応存在することになる


【参考】

※マグナ・カルタ39

1、いかなる自由人も、その同輩の合法的裁判によるか、または国土の法によるのでなければ、逮捕、監禁、差押え、法外放置、もしくは追放され、またはなんらかの方法によって侵害されることはない。

※合衆国憲法19節(3項)

1、私権剥奪法または事後法は制定されてはならない。

※同修正5

1、何人も、刑事事件において自己に不利な証人となることを強制されることはなく、また法の適正な手続きによらずに、生命、自由または財産を奪われることはない。

※人権宣言8条(罪刑法定主義)

1、法律は、厳格かつ明白に必要な刑罰でなければ定めてはならない。何人も、犯行に先立って設定され、公布され、かつ、適法に適用された法律によらなければ処罰されない。


(2)日本

1、日本においては、憲法第31条が罪刑法定主義の根拠条文とされている。刑法においては、旧刑法で規定が設けられていたが、現行の刑法では削除されている。

2、一般的には、大日本帝国憲法第23条にも書かれているので、その意味により二重となるのを避けたとされているが、当時の政府が裁量権の拡大を図るとともに、国家体制に対する犯罪に関しては罪刑法定主義の除外の対象としようとしたのではないかという意味合いもある。

3、現に治安維持法に見られた抽象的である犯罪類型を定めたものや、国家総動員法に見られる意味のような白地刑罰法規などは、罪刑法定主義の形骸化を示すような法制であったとされている。


憲法第31条

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。  


かいひろし法律の部屋

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