憲法のお勉強 第15日

② 日本国憲法の人権観念

※憲法第11条は、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と述べている。

※このほか、97条では、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と述べていて、「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」という部分が重要である。

⇒ここから、人権の性質という部分で、人権の固有性・不可侵性・普遍性という重要な観念をみることができる。

※ちなみに、この97条が11条と重複するということを理由に削除しようという考えがあるらしい。


1 人権の固有性

※人権の固有性とは、人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であることをいう。

⇒人権が人間の尊厳に由来し、人間であることに固有するものであることを意味する。


【考え方の淵源はどこにあるか】

※1776年 アメリカ合衆国独立宣言 

※「つまりすべての人は生まれながらにして平等であり、すべての人は神より侵されざるべき権利を与えられている、その権利には、生命、自由、そして幸福の追求が含まれている。」という宣言に含まれている。

※その文章の内容を網羅すると。

※「我らは次のことが自明の真理であると見なす。すべての人間は平等につくられている。創造主(神)によって、生存、自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられていること。これらの権利を確保する為に、人は政府という機関をつくり、その正当な権力は被支配者の同意に基づいていなければならないこと。もし、どんな形であれ政府がこれらの目的を破壊するものとなった時には、それを改め、または廃止し、新たな政府を設立し、人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方で、新しい政府を設けることは人民の権利である。」

⇒固有性にある重要な部分とは、人権が、権力者や特定権力関係から特定の者に賦与されるような権利ではなく、人間であれば、その者が人間であるという理由だけにもとづき有する権利である、という性質のことをいう。


【日本国憲法13条】

 個人の尊重(尊厳)、幸福追求権及び公共の福祉について規定している。

〈条文の内容〉

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

〈特徴〉

※プライバシーのような新しい人権が認められることがあると指摘している。


2 人権の不可侵性

※人権の不可侵性とは、人権が原則として公権力によって侵されないということを意味する。

【日本国憲法11条】

※基本的人権の享有について規定し、第12条・第13条とともに、人権保障の基本原則を定めている。

〈条文の内容〉

※国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。


【日本国憲法97条】

※日本国憲法第10章最高法規にある条文で、憲法の基本的人権の本質について規定している。

〈条文の内容〉

※この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

〈特徴〉

 ①国家主義の国家論。

 ②法実証主義とその法思想を結びつけた国家法人説の理論。


〈現代社会の特徴〉

企業などの私的団体(社会的権力)による人権侵害の問題が重要性を増しつつある。

⇒ブラック企業の問題が浮き彫りになってきている。


〈人権の不可侵性の限界〉

人権が絶対無制限であることを意味しないため、人権は社会的であり、一定の限界を有する。


〈歴史上の例〉

※1789年 フランス人権宣言 

〈条文〉

第4条(自由の定義・権利行使の限界)

自由とは、他人を害しないすべてのことをなしうることにある。したがって、各人の自然的諸権利の行使は、社会の他の構成員にこれらと同一の権利の享受を確保すること以外の限界をもたない。これらの限界は、法律によってでなければ定められない。

⇒他人を害しないすべてのことをなしうることにある。

 大切な言葉ではあるまいか…。


〈日本国憲法〉

※人権と公共の福祉(12条後段、13条後段)

第12条

※この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。


第13条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

⇒「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

※この部分が最も重要である。要するにその権利が条文で保障されているのである。


3 人権の普遍性

※人権の普遍性とは、人権は、人種、性、身分などの区別に関係なく、人間であるというただそれだけで当然にすべて享有できる権利であるということを意味する。

【日本国憲法11条前段】

※日本国憲法第3章にある条文の1つであり、基本的人権の享有について規定し、第12条・第13条とともに、人権保障の基本原則を定めているのが現状である。

〈条文〉

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

※天皇や外国人の人権など特別の問題もある


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