行政法のお勉強 第8日

※強制措置

※行政上の強制手段とも呼ばれ、行政機関が行政目的を実現するために、国民に対して行う強制手段の総称をいう。

• 行政上の義務が履行されなかった場合に、行政上の目的を達成し、実効性を確保するために行われる意味を持つ


※大きく分けて強制執行と行政罰の2種類に分類される。

① 強制執行

※行政上の強制執行とは、私人が法令又は行政行為によって命じられた義務を履行しない場合、行政庁が、実力をもって義務を履行させ、または履行があったのと同様の状態を実行させることをいう。

(行政自身が、行政上の義務が履行された状態を自力で強制的に作り出すことである)


② 行政罰

※行政上の義務違反に対し、行政主体の一般統治権に基づき、一般私人に対して制裁を行うことの総称をいう。

(行政上の義務を履行しなかったことに対する制裁)


• 1つの義務不履行に対して、どちらも行うことができる

⇒行政上の「強制措置には一般法は存在せず、」

※統一的なしくみが設けられているわけではない

• ①②と別に、行政上の義務不履行を前提としない 即時強制 がある


強制執行

• 「行政上の強制執行」とは行政上の義務が国民によって履行されないときに行政自身が、履行された状態を自力で作り出す作用をいう

• ①代執行、

• ②執行罰(間接強制)、

• ③直接強制、

• ④行政上の強制徴収 がある


①代執行

• 代執行とは、行政上の代替的作為義務(他人が代わってすることができ、かつ、一定の行為が必要な義務)を、義務者が履行しない場合に行政庁が自らその行為を行い、又は、第三者にそれを行わせその費用を義務者から徴収する作用である。

• 一般法として、行政代執行法がある

• 代執行の対象となる義務は法律(法律の委任に基づく命令、規則、条例)により直接命じられたもの、又は、法律に基づき行政庁に命じられたものに限られる


《代執行を行うことができる要件》

• 法律又は行政行為(命令)による作為義務があること

• 代替的作為義務であること

• 他の手段によってはその義務履行が困難であること

• その不履行を放置することが著しく公益に反すること


《行政代執行法に基づく手続》

• 相当の履行期限を定める

• その期限までに履行されない場合、代執行をなすべき旨をあらかじめ文書で戒告する

• 代執行令書をもって、代執行をなすべき時期、代執行費用の見積り等を、義務者に通知する。

• 非常の場合、危険急迫の場合において手続をとる暇がないときは、手続の一部が省略される

• 代執行実施の際は、責任者は、責任者であることを示す証票(身分証明証等)を携帯しなければならず、その呈示を求められたときは呈示しなければならない


②執行罰(間接強制)

• 執行罰とは、非代替的作為義務(他人が代わって行うことができない義務)、不作為義務(~してはいけないという義務)が履行されない場合に、行政庁が一定の期限を示し、

⇒その期限内に義務の履行がなされないときには過料(金銭を払う罰)を課す旨を予告することで、間接的に義務の執行を強制する作用である。

• 一般法は存在せず、砂防法に規定があるのみ


③直接強制

• 「直接強制」とは、義務者が義務を履行しない場合、行政庁が義務者の身体または財産に強制力を加えて義務の内容を実現する作用である。

⇒直接強制を定める一般法は存在せず、個別法でわずかに認められるにすぎない

(成田空港の安全確保に関する緊急措置法)


④行政上の強制徴収

• 「行政上の直接徴収」とは、国民が税金などを納めない場合に、強制的に徴収する作用である

• 国税の強制徴収の一般法として、国税徴収法がある

⇒国税以外の金銭債権を徴収するために「国税徴収法を準用する」といった規定がおかれる

(地方税法48条も国税徴収法を準用する旨の規定をしている)

※法により、行政上の強制徴収の手段が認められている場合には、これによって簡易迅速に実現を図るべきであり、これによらず民事上の強制執行の手段によることはできないとされている。

(最判昭41・2・23)


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