憲法条文整理 第5条・第6条

第5条

皇室典範の定めるところにより「摂政」を置くときは、「摂政」は、「天皇」の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。


重要度:2

解説等:メモ

・本条は、天皇が国事行為を行うことができない場合の摂政(せっしょう)についての規定でしている。

⇒摂政は、国会が制定した皇室典範に基づいて置かなければならず、憲法第4条第1項の規定が準用される。

・摂政についての規定は、皇室典範第3章に規定されている。


【参考】

(皇室典範第3章)

第16条 

① 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。

② 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。


第17条

① 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。

1 皇太子又は皇太孫

2 親王及び王

3 皇后

4 皇太后

5 太皇太后

6 内親王及び女王

② 前項第2号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第6号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。


第18条

摂政又は摂政となる順位にあたる者に、精神若しくは身体の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、「摂政又は摂政」となる順序を変えることができる。


第19条

摂政となる順位にあたる者が、成年に達しないため、又は前条の故障があるために、他の皇族が、摂政となつたときは、先順位にあたつていた皇族が、成年に達し、又は故障がなくなつたときでも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いては、摂政の任を譲ることがない。


第20条

第16条第2項の故障がなくなつたときは、皇室会議の議により、摂政を廃する。


第21条

摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。


※皇室典範第22条において、天皇は18歳で成年と規定されているため、天皇が18歳未満の場合は摂政が置かれるとしている。天皇に、精神若しくは身体の重患又は重大な事故があった場合も、摂政が置かれるとしている。


第6条

① 天皇は、「国会」の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

② 天皇は、「内閣」の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。


重要度:3

解説等:メモ

・第6条は、内閣総理大臣と最高裁判所長官の任命についての規定である。


※任命

第6条第1項  内閣総理大臣の指名   国会が指名して 天皇が任命する

第6条第2項  最高裁判所長官の指名 内閣が指名して  天皇が任命する


※内閣総理大臣の実質的な決定は、憲法第67条により国会だけが行うことになる。

⇒そのため、天皇が介入する余地はない。国会による指名がなされると、衆議院が指名について優越する(憲法第67条)ことから、衆議院議長がその旨を内閣を経由し天皇に奏上することになる(国会法第65条第2項)。

※そして、天皇は任命について内閣の助言と承認を必要とする。


※最高裁判所の裁判官は、長官が1人(天皇が任命)、その他が14人(内閣が任命)の合計15人である(詳しくは憲法第79条を参照のこと)。長官がその地位を失う場合は、憲法第78条と第79条に規定されている。

※内閣総理大臣と最高裁判所長官は、どちらも天皇による免官規定は設けられていない。


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