基礎法学のお勉強 第4日

4 法の解釈 

※法の解釈には、大きく分けて「文理解釈」と「論理解釈」がある。


①文理解釈

※文理解釈とは、法律条文を構成している文字や字句に従って法規を解釈することであり、

法文の意味、文言の意味を明らかにするという方法によってなされる法の解釈方法」である。

※法律用語は、常識に従って、しかも「法律上の立場から解釈」しなければならない。


②理論解釈

※理論解釈とは、他の条文との関係や、「法文の目的、法制定の経緯や法体系の中での条文の位置などを考慮しながら行う法解釈」である。

※論理解釈には、細かく分けて、拡張解釈、縮小解釈、類推解釈、もちろん解釈(勿論解釈)、反対解釈の五種類の解釈がある。


②-1 拡張解釈 (拡大解釈)

※法文の言葉を、通常の意味よりも「広く」解釈する方法を拡張解釈(拡大解釈)という。

憲法81条

最高裁判所は、「一切の法律、命令、規則又は処分」が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である.

※この「一切の法律、命令、・・・」に「条例」を含ませて解釈するのが拡張解釈の例である。


②-2 縮小解釈

※法文の言葉を、通常の意味よりも「狭く」解釈する方法を縮小解釈という。

※例えば、民法177条の不動産物権変動を第三者に対抗するには登記が必要、という規定の「第三者」を「当事者及びその包括継承人以外の者」などに限定・厳格化して解釈することをいう。


②-3 類推解釈

※類推解釈とは、当該事項についての明文の定めがないなどの場合に、

類似する事項についての規定を借りてきて、その法文の事項に当てはまるように、必要な修正を加えて解釈に適用」する方法をいう。


(民法94条の類推解釈)

民法第94条 

1 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

・例えば、「通謀の事実はないが、不実登記がなされ、それを長期にわたって黙認」していた場合、これを通謀に匹敵するとして、善意の第三者を保護する、などが類推解釈の例がその意味である。

*刑法においては、「類推解釈によって処罰することはできない」。(罪刑法定主義)

*拡張解釈による処罰は認められる場合がある。

【判例】

・過失往来危険罪に規定される「汽車」にガソリン車は含まれる、とする判例あり。


②-4 もちろん解釈(勿論解釈)

※もちろん解釈(勿論解釈)とは、ある法令の規定の立法目的や趣旨等から見て観察し、明文規定はなくとも、それと「同じ趣旨の規定があると解釈することが当然である場合の解釈」をいう。


民法738条 

・成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。

※民法738条には、被保佐人についての規定はないが、成年被後見人が成年後見人の同意を要しない、という規定から、「当然に、被保佐人は、保佐人の同意を要しない、」と解釈するのが勿論解釈である。


②-5 反対解釈

※反対解釈とは、一定の法命題が定められているときに、その命題から反対命題を引き出す方法である。


民法96条 

1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

※民法96条2項、3項において、「強迫」が列記されていないことから、

「強迫による意思表示の取消は、同規定が適用できない」、と解釈するのが反対解釈である。



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