憲法のお勉強 第8日

3 日本国憲法の基本原理

前文(再認識するべき言葉の中の重要性)

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

【解説】

1、前文は、この憲法の制定の由来や理由、基本原理が書かれている。各章・各条の規定の意味や解釈の基準をなすものとして、憲法の中で一番重要な部分であるといえる。

2、この憲法は、前文中に、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、・・・この憲法を確定する。」とあるように、敗戦を契機にして、戦前の憲法が政府の愚かな行為による戦争の惨禍を防止できなかったという認識と反省に基づいて、何よりも戦争の惨禍が起きないようにするという決意から出来上がった。

3、前文の基本構造は、以下の4つからなる。


①第1段に記された意味

 ・憲法制定権は国民にあるということ

 ・国会中心主義

 ・自由主義の宣言と戦争という罪の反省

 ・民主主義は普遍の原理である

 ・民主主義が憲法改正の限界をなすこと

 (この意味は最重要である)

②第2段に記された意味

 ・平和主義の理由

 ・平和国として名誉ある地位を占めたいという希望宣言

 ・平和に生きる権利は全世界の国民が持つということ

③第3段に記された意味

 ・国際民主主義の原理の確認

 ・国際民主主義に従うということ

④第4段に記された意味

 ・民主・自由・平和への誓い

 (この平和への誓いという部分、世に示す時である)


①第1段に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」とある。また、第2段に「平和を愛する諸国民」とある。

⇒第2段にある「平和を愛する諸国民」の言葉の意味の重要性を、いま日本は悟るべきである。

※この「政府の行為」という部分が「国民の行為」とされていないこと、「諸国民」が「諸政府」とか「諸国家」とされていない点は、注意しなければならない。

⇒これは、国民は平和と自由を欲するという「民主主義の原理的思想」が現れているためである。(要するに平和と自由という基本根底の中に、日本の取るべき姿勢は大事なのである。)

②第2段に「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」とある。この平和に生きる権利が規定されたのは、世界の憲法史上で初めてのことで、画期的であるといわれている。

⇒その価値を再認識するべき意味は、日本から始まる。


※1955年4月18日に、インドネシア・バンドンで開催されたアジア=アフリカ会議(AA会議、バンドン会議)で出された平和10原則については、以下である。

⇒守るべき規定の意味があると思うのだが、人間はこれをしないがために…。


1  基本的人権と国連憲章の趣旨と原則を尊重する。

2  全ての国の主権と領土保全を尊重する。

3  全ての人類の平等と大小全ての国の平等を承認する。

※すべての人類の平等と平和を保つには、その愚かな戦争をやめること。

 神の制止を受けることになると、全土は壊滅する。

4  他国の内政に干渉しない。

5  国連憲章による単独または集団的な自国防衛権を尊重する。

6  集団的防衛を大国の特定の利益のために利用しない。また、いかなる国も他国に圧力を加えない。

7  侵略または侵略の脅威・武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立をおかさない。

※根本的に、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立をおかさない。これの部分が損なわれているので難民が増えるのは当然のことである。

⇒そのバランスを崩しているのは、愚かな人間であるということ。

8  国際紛争は平和的手段によって解決する。

9  相互の利益と協力を促進する。

10  正義と国際義務を尊重する。


かいひろし法律の部屋

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