第4条
①天皇は、この憲法の定める「国事に関する行為」のみを行ひ、「国政に関する」権能を有しない。
②天皇は、法律の定めるところにより、その「国事に関する行為」を「委任」することができる。
重要度:3
解説等:メモ
【解説】
・本条は、天皇の行為とその「限界について定めた原則規定」である。
(本来であれば、この第4条が第3条の前に規定されているのが論理的であると言われている。)
【参考】
※第1項の国事に関する行為(国事行為)とは、第6条、第7条、第15条、第41条、第67条、第68条、第73条、第79条等に関連する条文がある。天皇の国事行為については、結局のところ誰が認証・決定・授与するのかなどを注意して読まなければならない。
⇒一般的に、天皇の国事行為には、「国政に関する権能を有しない」という規定があるため、国政に実質的な影響を与えることのない、「事務的であり形式的であり儀礼的であり栄誉的である行為」と言われている。
※まとめると以下のようになる。
・天皇は自由意思で決定することはできない
・他の国家機関が決定した行為を、自動機械的に認証する行為である
・国政に実質的な影響を与えることはない
※一般的には上記のように考えられているが、国事行為には実際的には高い段階の行政権や統治行為や残余権(残余権とは、国会・内閣・裁判所の三権に配分することができないような権限のことである。例えば、恩赦権などのことである。)などが内に含まれているし、天皇の国事行為に関しては、「内閣の助言と承認が必要」であり、内閣が「責任を負う」(第3条)と規定されている。
【参考2】
※天皇の国事行為に該当しない公的行為
○天皇の「公的行為」について
※天皇の公的行為の例として、具体的には以下のものがある。
1. 国会開会式への臨席(憲法上国事行為とされているのは「国会を召集すること」)
2. 認証官任命式への臨席(憲法上国事行為とされているのは「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること」)
3. 国民体育大会など国民的行事への臨席
4. 式典等公開の場で「おことば」を朗読する行為
5. 国内巡幸
6. 外国への公式訪問
7. 外国元首との親電交換(憲法上国事行為とされているのは「外交文書を認証すること」)
8. 外国賓客の接受(憲法上国事行為とされているのは「外国の大使及び公使を接受すること」)
9. 園遊会の主催
○学説
※公的行為に関しては、以下の考え方が示されている。
①三行為説
⇒(国事行為と私的行為のほかに公的行為も認める見解)
区分すると…
1 象徴行為説
※「象徴としての地位に基づく公的行為」として容認する考え方
2 公人行為説
※内閣総理大臣などと同様に公人としての地位に伴う行為として、容認する考え方である。
②二行為説
⇒(国事行為と私的行為のみ認める見解)
区分すると…
1 否定説
※そもそもそのような行為は認められないとする考え方
2 国事行為説
※式典等への参加は憲法第7条第10号の「儀式を行ふこと」に該当する(国事行為に含まれる)とする考え方である。
3 準国事行為説
※国事行為に密接に関連して、国事行為に準じる準国事行為として容認する考え方である。
・つまり、天皇の国事行為とは、天皇が独断的に行うことはできず、内閣の助言と承認が必要でするが、重大な国政権限であるということである。しかし、学説などが様々あり、どの程度重大な権限があるのかは意味不明である。
・第2項の、国事行為の委任については、第5条に基づく法律たる皇室典範第16条や、「国事行為の臨時代行に関する法律(昭和39年)」が制定されている。国事行為の委任についても、国会の統制下に置かれている。
0コメント