憲法条文整理 第16条

第16条 【請願権】  

何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、「平穏に請願する権利を有し、」何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。 


 重要度:3 

 メモ書き:解説等

 【解説】 

・いわゆる請願権について規定する条文である。 

※「請願」とは、国や地方自治体の諸機関に対して、その職務権限に属するあらゆる事項について要望を述べる行為のことをいう

⇒条文にある「平穏に」とは、暴力や脅迫を用いないという意味のことである。

※今ある世の中、「平穏に」考える意識があれば、何も争い事(宗教観の違い等)は起きないのだが、人はその精神を忘れている。

・請願がその内容として、公務員の批判・損害の救済などに及ぶことから、 実質的に請願権を保障する見地から、「請願をしたことを理由として不利益な対応を受けることがないことを憲法上保障」するものである。 

※適切な請願として憲法上の保護を受けるためには、「平穏なる態様」にて行うことが求められている。  


○参考 

・請願権の歴史は古い時代からあり、それを見るとイギリスでは、1689年に権利章典でその内容が確認されている。日本では、江戸時代に目安箱というものが存在し、明治維新後の大日本帝国憲法では、第30条に「日本臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得」とし、第50条に「両議院ハ臣民ヨリ呈出スル請願書ヲ受クルコトヲ得」、と規定されていた。 

・現在の憲法では、国民主権を基本原則としており、請願権を「人が生まれながらにしてもつ基本的人権」の一つとして保障している。関連する法律などは、以下のとおりである。 


請願法…請願に関する一般規定であり、全部で6条の項目である。 

国会法 第79条から第82条  

衆議院規則 第171条から第180条

 参議院規則 第162条から第173条

※国会各議院に対する請願についての規定である。

地方自治法 第124条と第125条

※地方議会に対する請願についての規定である。 


請願手続きなどは、以下を参照。

A 請願を行える者

・日本国民 

 ・外国人(外国人により参議院に提出された請願が受理された例がある) 

 ・法人 


B 提出先など

・一般の官公署に対する請願

(請願者の氏名・住所を記載した文書で、請願事項を所管する官公署に提出する。) 

・天皇に対する請願

(内閣に提出する。ただし、天皇は国政についてほとんど権限がないため、請願をしても意味がないといわれている。)  

・国会各議院に対する請願

(議員の紹介により請願書を提出する。そして、委員会の審査を経たあと、議決される。内閣で処理したほうがよい場合は、内閣に送付する。) 

・地方議会に対する請願

(議員の紹介により請願書を提出する。) 


※官公署に対する請願については、官公署は請願の受理を拒否することはできない。

また、誠実に処理しなければならないとされる。 

※国会各議院に対する請願は、陳情とは別ものであるということ。  

※請願は、平穏にされなければならない。

平穏の意味は、「暴力や脅迫などを用いて行ってはいけない」ということである。

そのため、デモ行進を背景とする請願などは平穏を欠くとは言えないのは事実である。 

⇒ましてやデモを起こして物を破壊するような行為は恥以外の何物でもない。

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