第11条 【基本的人権の享有】
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、 侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
重要度:3
解説等:メモ書き
【解説】
・第11条は、憲法の保障する基本的人権が、人が人であることのゆえをもって、 当然に国民が共有しうる普遍的なものであるという、「 自然権思想 」を基礎にしていることを明らかにしている。
⇒この「自然権思想」とは、 人類の普遍的価値である「人間の自由」と「平等」を中心とする基本的人権、並びに、基本的人権を基調とした現代政治理論において、最も基本的な概念・原理であるとされている。ただし、その由来については神が個々の人間に付与したとする考えと人間の本性に由来する考えが存在する。
※かつてのヨーロッパの近代思想では、
⇒神が自然法に基づいて自然権を付与するという考え方を否認(否定して認める)し、法は人間によって創設されるもので自然法もまた自然権から発生したものであるという法概念の転換をももたらした。
※少々脱線したが本題に戻る。
基本的人権という意味合いを考えると…
・人は生まれながらにして自由かつ平等の権利を持っている。
・「 国民 」 という文言を用いているため、外国人や法人、また天皇などにも人権が及ぶか否かで、これには学説どうしで争いがあること。
・外国人については憲法10条でも述べたとおり、「 権利の性質上適用可能な人権規定はすべて及ぶ 」 とされていること。
そのほか、法人等の意味を考察する
・法人についても、その社会的実態として、今日でも重要な活動をになっていることなどから、「 性質上可能な限り人権規定は適用される 」と解される。
・しかしながら、自然人( =人間 )であるがゆえに認められる人権( 選挙権、生存権など )は、法人には保障されることはなく、自然人の場合と保障の程度が異なる人権もあるとされる。
⇒例えば、経済的な自由権や政治活動の自由などに関しては、 自然人よりも広く規制を受けることになる。
天皇の問題
・天皇についてですが、私人としての天皇に人権が及ぶことは当然ですが、その地位の特殊性から人権が制限されることがある。
⇒例えば、職業選択の自由や、居住の自由などの人権は制限されることなる。
※本条の基本的人権には、以下の四つの性格がある。
①普遍的なる意味
・人種・性別・身分などの区別がなく、全ての人間に与えられた権利であるとされるもの。
(要するに、この世に存在する人間はすべて、差別なるものがあるのは根本的に間違いであり、主のもとではすべてが平等であるといわねばならない。)
②固有的なる意味
・基本的人権は、人間が生まれながらにして持っている権利である
(憲法や国家が授けたものではないのだし、憲法や国家より以前に、人類が出来上がった時より、存在するものである。憲法や国家は、基本的人権を確認し保障するにすぎないのである。)。
⇒また、人間は基本的人権を他人に譲り渡すことはできないものである。
③不可侵的なる意味
・行政権、立法権、司法権など、いかなる国家権力をもってしても、基本的人権を侵すことは、当然にできないということである。
⇒また、その他のいかなる手段をもってしても、基本的人権を侵すことはできない。
※これが侵されれば、人間の世の中は狂いだし、平穏な生活は保てない。
④永久的なる意味
・基本的人権は、現在の国民だけでなく、将来の生きていく国民にも永久の権利として認められ、将来永久に奪われるべきものでない権利であるとするものである。
※基本的な精神は、個人の重要なる尊重ということである。
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