刑法のお勉強 第14日

※行為論

1 総説

1、行為論とは、犯罪概念を構成する重要な要素の行為についての刑法学上の議論のことをいう。

①法令または正当の業務による「行為」は罰しない、また正当防衛にあたる「行為」は罰しない。

⇒違法とされない人の行動を行為とし、犯罪が違法「行為」であることの明確化。

②罪を犯す意思がない「行為」は罰しない、心神喪失者の「行為」は罰しない。

⇒有責とされない行動も行為であるとして、犯罪が有責「行為」であることの明確化。

③刑法54条1項前段は、一個の「行為」が二個以上の罪名に触れる場合が観念的競合である旨を規定。


※刑法的評価の対象としての構成要件を論ずることは、いくつかの点で実益を有する。

①行為の態様である作為・不作為は、構成要件による評価がなされる以前にすでに認識しうる概念である。

②(相当)因果関係の事実的基礎としての条件関係は、構成要件的評価の対象としての行為と結果との関係を示すものであり行為論に属す。

③刑法典は、犯罪の実行と犯罪の予備との区別をし認めているが、実行行為、予備行為および予備以前の行為の区別を明確化するためには、これらを「行為」という共通の概念として捉えることが必要であり、その行為の範囲と限界を確定し、相互の内的関係を明確にすることができる。


2 行為概念としての機能

①基本要素としての機能

1、行為は、刑法の論理的意味において、犯罪概念の基本要素の働きをなす。

⇒犯罪を概念として示すには、構成要件該当性・違法性・有責性という基本要素が概念の中に組み込まれていなければならない。


②結合要素としての機能

1、基本要素としての機能として、行為は、犯罪の属性である他の犯罪要素を結び合わせて、犯罪論体系の一貫性を確保するという機能を有する。

⇒これに本来は別の評価である、「構成要件該当性・違法性・有責性」という各要素は、それぞれが行為を修飾することによって、行為を通して相互に結びつく。


③限界要素としての機能

1、刑法的な評価の対象は行為に限られるという前提に立ち、行為でない自然現象や社会現象、人の単なる意思・思想を初めから犯罪概念の外におくという機能がこれにあたる。


④統一要素としての機能

1、全ての犯罪態様を「行為」として統一的に包摂(一定の範囲の中に包み込む)する機能であり、行為概念により犯罪論体系の統一性がこれにより確保。

⇒これには故意犯と過失犯、作為犯と不作為犯に通ずる行為概念が要請される。


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