民法のお勉強 物権編 第2日

(2)質権と抵当権

※質権

1、質権とは、債権の担保として債務者又は第三者から受け取ったものを債務が弁済が終わるまで自分の手元にとどめておき、弁済が無かった場合は、競売にかけてそのものの価額から他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利のことをいう。

2、質権は自動車、航空機、登記船舶など特別な動産を除く一般の動産、不動産に設定できるのはもちろんのこと、債権、銀行預金などにも質権を設定できることになっている。

⇒ただし、譲渡禁止の特約がある債権など譲渡が禁止されているものには質権を設定することができないことになっている。

3、動産を質に取った場合は、質権者は質物に対して善管注意義務を負い、動産質権に対して転質権を設定することができる。

4、不動産を質に取った場合は、その不動産の性質に従って使用したり、これから利益を得ることができる。

⇒たとえば、アパートを質に取った場合には、貸し出して家賃収入を得たりすることもできる。そのかわり管理費用は自分もちとなる。

※この場合、第三者に対して質権を主張するには登記が必要となる。

5、質権は相手から質物を取り上げ自分の手元においておくため質物を勝手に処分されてしまうということが無いかわりに、債務者に引き続き質物を利用させるということができない。相手に利用させたい場合は、抵当権、譲渡担保を使用することとなる。


※抵当権

1、抵当権は債務者又は第三者が担保に供したものを質権のように取り上げることなく、そのまま引き続き使用させて、弁済されなかった場合に、競売にかけその代金から優先的に弁済を受けることができる権利である。

2、抵当権は土地や建物に設定するのが一般的であるが、地上権、永小作権、自動車、建設機械にも抵当権を設定することができることになっている。

3、抵当権を第三者に主張するには登記が必要となる。抵当権が同一物件に複数設定されているときは、登記順に競売代金から弁済を受けらることになっている。


(3)譲渡担保・動産抵当・仮登記担保

※譲渡担保

1、譲渡担保とは、担保となるべき財産を法形式的には、譲渡の形で所有権を担保権者に移転することにより、債務者側に担保物の使用収益を認める形態の担保方式である。

⇒譲渡担保の場合には、担保権者が担保の目的物を占有せず、債務者が目的物の使用収益が可能な場合に譲渡担保の意味が該当する。

2、動産を債権の担保とする場合、不動産とは異なり抵当権が設定できず、質権しか用いることができないことになる。しかし、質権では抵当権と異なり、担保の占有権を質権設定者から質権者に移す必要があるために、担保の目的物を担保設定者が継続して使用することができないのである。

3、この場合、譲渡担保を用いることにより、所有権を担保権者に移転して、担保権者が担保設定者に担保の目的物を賃貸することで、動産においても抵当権類似の担保を設定することができる。

4、譲渡担保の具体例としては、工場の機械を担保に入れて金を借りる場合のほかに、土地などの不動産を担保とする場合に、抵当権においては実行手続が煩雑となることから、譲渡担保により簡便な方法(担保物の取得)によって優先弁済を受けることができるという利点がある。このように譲渡担保は金融実務上非常に広く応用されている。


※不動産の譲渡担保

1、譲渡担保は動産だけではなく、不動産を目的物として行うこともできる。

⇒この場合は、借入金の担保について不動産の所有権を債権者に譲渡し、債務の弁済が完了した時点で不動産の所有権の登記を債務者に戻すこととすれば、債務者が債務を弁済できないときは、暫定的に債権者に移っていた所有権は、確定的に債権者に帰属することになる。


※動産抵当

・動産を債務者の手元に残したまま担保に供することである。現行法上、脱穀機などの農業用動産や自動車・航空機・建設機械について認められている。


※仮登記担保

・非典型担保の一つである。

⇒債務者が債務を弁済しない時には、債務者に属する所有権その他の権利を債権者に移転する旨を予め契約しておき、これに基づく債権者の権利について仮登記・仮登録をしておくという方法により債権担保の目的を達成しようとする担保の方法をいう。


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