民法のお勉強 総論 第12日

7 法人設立の諸主義

※法人は、法律で定められた手続によらなければ、設立できない(法人法定主義・33条)。

【参考条文】

第33条(法人の成立等)

1. 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2. 学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。


①特許主義

※設立に特別法の制定を必要とするもので、日本銀行・日本住宅公団等である。

②強制主義

※公益上、国が設立や法人への介入を強制するものであり、弁護士会及び弁理士会がこれである。

③許可主義

※旧公益社団法人・公益財団法人のように、法律の定める要件を具備し、主務官庁などの自由裁量によって設立が認められるものである。

⇒平成20年施行の新制度によって、公益性の認定は主務官庁の範疇ではなくなっている。

④認証主義

※設立のための要件が緩く定められ,主務官庁は要件の確認と認証を行うだけという方式である。

⇒宗教法人法,特定非営利活動促進法(NPO法人法)がこれにあたる。

⑤認可主義

※宗教法人のように、法律の定める要件を具備し、主務官庁の許可をうけることで設立される法人

⇒上記の許可主義とは違い、要件を具備した場合、主務官庁は許可しなければならない

⑥準則主義

※法人の設立にあたり、法律などに則り、それを根拠としたり準じているならば行政機関が採る主義として法人格を付与する原則的な方法である。

⇒行政機関の裁量や判断として法人格を許可するのではなく、該当する法律などの要件を満たしていれば法人の設立を拒む理由がなく法人格が付与されることをいう。

⑦当然設立主義

※法律上当然に法人となるものをいう(例えば、地方公共団体、相続財産法人である)


第2節 一般法人の設立

1 一般社団法人

※一般社団法人は、非営利団体を対象とした法人制度の一つであり、営利を目的としない団体であれば、これを一般社団法人として法人化させることができるというもの。

⇒ここで「非営利」「営利を目的としない」とは、

社員(団体の構成員)に対する剰余金の分配を行わない、いわゆる、株式会社の株主配当に相当することを行わないという意味であり、収益事業を行い利益を得ることや、役員報酬・従業員給与を支払うことなどは、全く問題ありません。

※また団体と言っても、その社員は設立時に2名以上いればよく、設立後は1名まで減っても存続可能ですので、小規模な団体であっても、一般社団法人として法人化することができるようになっている。


※一般社団法人設立の手続

① 定款の認証手続き

※定款とは、

※一般社団法人の設立手続きをするには、その一般社団法人の最高法規ともいうべき「定款」を作成し、その定款の「認証」を受けなければならない。

⇒「認証」とは、一定の行為が正当な手続きよりなされたことを、公の機関が証明することであり、定款を認証する権限は公証人の権限とされている。

※一般社団法人の場合、定款は公証人の認証手続きを経ないと効力が生じないことになる。


② 一般社団法人定款の記載事項

A 絶対的記載事項(一般法人法11条)

1. 目的

2. 名称

3. 主たる事務所の所在地

4. 設立時社員の氏名又は名称及び住所

5. 社員の資格の得喪に関する規定

6. 公告方法

7. 事業年度


B 相対的記載事項(一般法人法12条他主なもの)

1. 社員の議決権に関する別段の定め(一般法人法17条)

2. 社員提案権の請求期間に関する別段の定め(一般法人法43条)

3. 理事会・監事・会計監査人の設置(一般法人法60条)

4. 理事による免除に関する規定(一般法人法114条)

5. 責任限定契約(一般法人法115条)


C 任意的記載事項(一般法人法12条)

1. 社員に剰余金又は財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め、決議、一般社団法人の行為は効力を有しない(一般法人法13条他)(無益的記載事項)。


かいひろし法律の部屋

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