行政法のお勉強 第5日

5 行政行為の効力

• 行政行為の効力は、「私人間における法律関係とは異なる」、特殊な効力を持つ。

⇒その効力には、①拘束力、②公定力、③不可争力、④自力執行力、⑤不可変更力 がある


①拘束力

• 行政行為の効力が、相手方のみでなく、「行政庁に対しても及ぶ」ことをいう。

⇒行政行為が外形的に存在すると、当事者である行政行為の相手方および関係人・行政庁自身がその行政行為の法律効果に拘束される効力である。


②公定力

• 公定力とは、仮に違法な行政行為がなされてもそれが無効な行政行為でない限り「取り消されるまでは有効な行為として扱われる」ことをいう。

⇒行政行為が不当行為であっとしても、重大かつ明白な瑕疵がなければ、権限ある国家機関が取り消さない限り、一応有効なものとして公定される効力のことである。


③不可争力

• 行政行為が行われてから一定期間が経過すると、それが無効な行政行為でない限り、もはや国民の側からその効力を、「不服申立てや取り消し訴訟などによって争うことができなくなる効力」を、不可争力という(行政庁自身は、職権で取り消すことができる)


※不服申立期間

・処分があったことを知った日の翌日から起算して60日。処分があった日の翌日から起算して1年(行服第14条)。この場合、郵送に要した日数は算入されないとする。


※出訴期間

・処分があったことを知った日から6ヵ月。処分があった日から1年である。

⇒相手方(名宛人)の知り得る状態に置かれたときに行政行為は効力発生する。通常は書面送達等により通達される。

(例外)

※公示送達で、送達すべき相手が行方不明であるような場合、裁判所などにおいて書面を一定期間掲示することで相手にその書面が送達されたとみなされる。


④自力執行力

• 行政行為の内容を行政庁が自力で強制的に実現できる効力

⇒行政行為の相手方がその行政行為によって課された義務を任意に履行しないときに、行政庁が行政行為自体(または法令)を法的根拠(債務名義)として義務を強制的に執行できる(行政上の強制執行)効力のこという。

法理の根拠がある場合のみ認められている

(税金の取り立てにおける国税徴収法、地方税法)

(行政代執行法)


⑤不可変更力

• 異議申立てにおける決定や、審査請求における裁決など、準司法的な行政行為に認められる効力で、行政庁自身も、もはや取消し・変更できなくなる効力(裁判所は取り消すことができる)

⇒明文の規定はない学説上の効力である。法律上の争訟を裁判することを本質とする裁決(行政行為)は他の一般的な行政行為とは異なり裁決をした行政庁自ら取り消すことはできないと判示した最高裁判決がある。


※不可変更力が認められる行政行為を確認行為と呼ぶ学説。

⇒不可変更力が認められる趣旨は、裁決を信用した私人の信頼を守り、国民の権利の救済をはかる審査請求制度を実質のあるものにするためである。

法律上の争訟に対する裁判という本質をもつ行政行為につき、職権取消しを制限する不可変更力のみならず、行政行為の内容に法的拘束力を与え、これを実質的確定力と呼称する学説もあり。


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