(3)補助
1 被補助人
※精神上の障害によって物事の判断能力が不十分な者で家庭裁判所で補助開始の審判を受けた者をいう。
(日常の買い物はひとりでも問題なくできるけれども、援助者である補助人の支えがあったほうが良いと思われる方、軽度の認知症の方などの時)
①原則 - 被補助人は、単独で法律行為をすることができる。
(例外)
※13条1項所定の行為の中から、被補助人の精神状態に応じて、家庭裁判所が決めた特定の法律行為については、被補助人は単独で行うことができず、補助人の同意を得なかった行為は取り消すことができる。
※本人以外の者の請求により補助開始の審判をする場合は本人同意が必要である。
2 保護者としての補助人
※被補助人の保護者を補助人という
⇒取消権、同意権、追認権を有する。
※裁判所は、審判によって、特定の法律行為について補助人に、代理権を与えることができる。
・補助人は、法人もなることができる
・補助人が選任されている場合でも、さらに補助人を選任できる
3 取消しの効果
※取り消された法律行為は、遡及的に(始めにさかのぼって)無効となる。
⇒取り消しの場合に、譲り受けた物やその他の給付を返還しなければならない
※制限行為能力者の返還義務の範囲は、現に利益を受けている限度で足りる。
4 相手方の保護
①法定追認
※社会通念上、追認と認め得るような事実が存在する場合に取り消し権者の意思にかかわらず、法律上、追認と同様の効果を生じさせることになる。
(法定代理人の同意を得ないで買った物を法定代理人が他人に売ってしまうような場合である)
②取消権の期間制限
※追認できるときから5年、行為の時から20年とする。
③催告権
※追認できる者に対し、追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
【参考】
※制限能力者の相手方は、制限行為能力者や、その法定代理人・保佐人・補助人に対し、行為を取消すかどうかについて確たる返答を求めることができる「催告権」を持っている。
⇒催告をするには、確答までに1ヵ月以上の猶予期間を設けなければならない。
※催告に対して返答がなかった場合は、催告をした相手や方式に応じて追認擬制もしくは取消擬制という効果が生じることになる。
④詐術による取消権否定
※制限行為能力者が、相手を欺いて行為能力者であると誤信させたときは、当該法律行為を取り消すことができない。
(未成年者が年齢を偽って、売買契約を締結した場合など)
【判例】
※判例では、単に無能力者(当時)であることを黙秘したというだけでは詐術にはあたらないとしている(最判昭44.2.13)。
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