刑法のお勉強 第2日

第2章 刑法の機能

一 刑法の社会統制機能

※社会の組織された権力による秩序維持のための社会統制の方法として法が作られた。

⇒近代の国家においては、法にはもう一つの重要な任務があり、これは国民の権利・自由を保護するために統治権力そのものを統制する意味として、その任務が形づけられるようになる。


※法の機能としてもつ二つの機能を、第一次統制機能、そして第二次統制機能に区分する。

第一次統制機能と第二次統制機能

※刑法における法益保護機能といわれるものが第一次に分類され、人権保障機能といわれるものが第二次に分類される。


二 法益保護機能

(1)意義

※刑法の第一統制機能に何を求めるべきか

⇒現代社会において国家が果たすべき、国としての役割をどう考えるかである。その意味で重要なのが法益保護機能であり、今ある国民主権国家にある、個人の尊厳というものを基礎とした基本的人権の尊重を基本原理として、国家の役割的部分は、個人に対する生活の利益(個人の法益)とその集合体としての社会に求める利益(社会法益)の保護であり、これらの保護の利益をいかに持続して、促進していくための国家の部分にある保護(国家法益)の保護に求められる。

(要するに、国としての基盤が保護法益の部分で、十分に作用しなければ、個人や社会に対する保護法益の部分がおろそかになる)


※刑法というもの、一定の法益侵害行為に対して刑罰を科すことを規定することにより、その現実に行われた法益侵害行為に対して実際に、その罪の意識の罰として、刑罰を科すことにより犯罪を防止させ、法益を犯罪から保護する機能をもっている。

⇒このような刑法としての法益保護機能という部分を重視する考え方(法益保護説と呼ばれる)は、「この文明社会の人々に対し、その意思に反して権力を行使することが、正当であり、他人に対しての侵害を防止する場合」のみとする。

(功利主義に基づく侵害原理/J・Sミル)


【参考】

※J・Sミル

⇒自由が、圧政からの解放と民主政治確立を意味していた時代は、彼にとっては過去のものなのである。彼が言う「自由」とは世論(世間)からの個人の自由である。

※つまり「個人が自分自身だけに関することをどのようにしようとも自由だ。それを回りの人間(世論)はとやかく言う権利はない」という自由である。ここに彼は、人に迷惑をかけないかぎりという条件をつける。そうであるかぎり世論も官憲も個人の生活に口出しすべきではないと言うのである。

(語録)

①「個人は、他人の迷惑になってはならない」という言葉。

⇒今あるその集団等は他人に迷惑をかけていないか、それを念頭に入れ行動するのも大事である。

②「個人は、彼の行為が彼自身以外の何人の利害とも無関係である限りは、社会に対して責任を負っていない」という言葉。

※なぜ個人の自由が大切かというと、個人の生活にやたら規制を加えるようになると、個性としての人の精神が育たなくなり、そうなるとこの世に英雄等も生まれなくなり、その社会が発展しなくなってしまう。

⇒そうなると、個人は不幸になったときに這い上がる力をなくすことになるし、そうなれば人材も育たなくなるので、価値のある人材も出てこなくなるので発展しなくなるのである。


(語録)

③「個性の自由な発展が、幸福の主要な要素の一つである」という言葉

※個人の発想の転換の高さが身に付かねばどうにもならない。

④「賢明な、または高貴な一切の事物の創始は、個人から出て来るものであり、また個人から出て来ざるを得ないものなのである」という言葉。

※その使命を負うものというものは、個人から出てくるのであり、在野に隠れているというのが現状である。

⑤「およそ或る人民は、見受けるところ、或る期間は進歩して、やがて停止する。では、いかなる時に停止するか? その人民が個性を持たなくなるときである」という言葉。

※人間というものは、一人一人が個性の持ち主であるのに、その個性というものを軽視しがちになることにより、本質というものを見ることをしなくなる。たとえば人を使うにしても、書類選考だけにこだわり、人間のもつ本質を見ないという状況があるのも今の問題である。

※その記すだけの書かぬことの大事な人間のレベルの意識の高き、その意識を見るのは、人を観察することと、その会話のなかにある人物の知恵なる思考という高さを見抜くことである。



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