民法のお勉強 総論 第6日

(2)保佐

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、その判断力の不足を補うこと。

⇒成年後見制度の一つであり、家庭裁判所の保佐開始の審判によって、保佐の事務を行う者として保佐人を付すとの審判を受けたものを被保佐人とよぶ。


① 保佐開始の審判

※保佐開始の審判とは,精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断

能力が著しく不十分な者(本人)を保護するための手続である。

⇒家庭裁判所は,本人のために保佐人を選任し,さらに,保佐人に対して,当事者が申し立てた特定の法律行為について,代理権を与えることができる。

※ 保佐開始の審判の申立人

※保佐開始の審判の申立人は、本人を含め、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人または検察官である(11条本文)。

⇒本人の同意は不要である。


② 被保佐人

※精神上の障害によって物事の判断能力が著しく不十分な者で、 家庭裁判所で保佐開始の審判を受けた者をいう。

1 原則

※被保佐人は、単独で法律行為をすることができる。

(例外)

※重要な財産上の行為について、保佐人の同意を得ずに行った法律行為は取り消すことができる。

⇒日常生活に必要な範囲の行為については単独で有効に行うことができ、取り消すことはできないとされる。


2 保護者

※被保佐人の保護者を保佐人という

⇒取消権、同意権、追認権を有する。

※被保佐人には保佐人が付されるが、保佐人は成年後見人と異なり、原則として法定代理人としての地位を有しない。ただし、被保佐人の同意がある場合は、家庭裁判所の審判により、保佐人に対し特定の法律行為について代理権を付与することができる、その場合には代理権の範囲が特定された法定代理人となる(876条の4)。

※保佐人は、法人もなることができる。

※保佐人が選任されている場合でも、さらに保佐人を選任できる。


3 被保佐人の行為の制限

※被保佐人が13条1項に列挙事由の行為や家庭裁判所により追加された行為をする場合は、保佐人の同意またはこれに代わる家庭裁判所の許可が要求され、同意を得ることなくこれらの法律行為をした場合は、取り消すことが出来る。


※保佐人の同意を要する行為(13条1項)

1.元本を領収し、又は利用すること。

2.借財又は保証をすること。

3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。

4.訴訟行為をすること。

5.贈与、和解又は仲裁合意をすること。

6.相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。

7.贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。

8.新築、改築、増築又は大修繕をすること。

9.短期賃貸借の期間を超える賃貸借をすること。


※なお、被保佐人は、株式会社の取締役、監査役には就任できないことになっている(会社法331条、会社法335条)。そのほか、国家公務員・地方公務員や各種の国家資格で被保佐人であることが欠格事由として挙げられている。

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