第一編 刑法の基礎
一 刑法の概念
(1)刑法の意義
※刑法とは、広義の部分では「犯罪」と「刑罰」に関する法のことをいう。
⇒「実質的意義における刑法」とも呼ばれる。
これに対し、狭義の部分では「刑法典」自体をさす。
⇒「形式的意義における刑法」と呼んでいる。
(2)刑法の内容
※刑法もほかの法律と同様、社会統制の一つの手段として、社会生活の準則(ルール)なる部分の総体を定めているが、国家権力が刑罰という制裁手段を用いてその遵守を強制する意味に関しての特色がある。
(3)刑法の種類
ア 刑事法(最広義における刑法)
①刑事手続法
※実体的刑法のみならず、国家刑罰権を実現するための手続きを定めている。
(代表的なもの:刑事訴訟法)
②行刑法
(代表的なもの:監獄法・犯罪者予防更生法)
イ 実体的刑法(広義における刑法)
①一般刑法としての刑法典
狭義:狭義における刑法
広義:広義の特別刑法
(分類)
A 狭義の特別刑法-刑法典の付属法規的・補充性法規的性格を有す。
(自然犯・刑事犯的性格の行為を規制の対象とする)
属するもの
・軽犯罪法
・暴力行為等処罰に関する法律
・破壊活動防止法
B 行政刑法
(本来、行政取締目的のために設けられた法規)
⇒部分的に刑罰によってその遵守を強制されているものをいう。
※これに違反する行為が法定犯・行政犯ということになる。
・道路交通法
・公職選挙法
・大気汚染防止法など
ウ 狭義の刑法
※刑法総論と刑法各論とに分けることができる。
①刑法総論
・各個々の犯罪及び刑罰に共通なる問題を総括して規定しているものをいう。
⇒実体的刑法のすべてに適用される旨を規定している。
②刑法各論
・各個々の犯罪について、法律要件と法律の効果とを規定している。
⇒刑法典の第二編の「罪」がこれにあたる。
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