二 憲法の分類
①成文憲法と不文憲法
※憲法典が存在するか、存在しないかを基準とする分類である。
⇒立憲的意味の憲法は、近代になってみられるようになったことから、近代的意味の憲法とも呼ばれる。立憲的意味の憲法は、日本国憲法の基本原理となっている。
この立憲的意味の憲法の多くは、成文憲法として存在する。
それに対して、憲法が法文により記されていないものや、一つの憲法典としてまとまってないものを不文憲法という。よって、形式的意味の憲法を持つ国が成文憲法の国であり、それを持たないのが不文憲法の国になります。つまり、イギリスの憲法は不文憲法ということになる。
②硬性憲法と軟性憲法
※憲法を改正する手続が、通常の法律よりも厳格な方法によらなければ改正ができない憲法のことです。日本国憲法を含め、多くの国の憲法は硬性憲法を採用している。
軟性憲法とは、硬性に対して、憲法を改正する手続が、通常の法律と同じ手続により改正することができる憲法のことです。
③欽定憲法と民定憲法
※君主主権の国家で、君主が制定権力となって制定された憲法のことをいいます。明治憲法は欽定憲法です。
これに対して、国民主権原理に基づき、国民が制定権力となって制定された憲法のことを民定憲法といいます。日本国憲法は、国民主権により定められたので民定憲法です。
三 憲法の特質
1 自由の基礎法
※憲法自体が、全ての国民に「生まれながらにして自由であり、生命・財産について誰にも拘束されない自由を持つ」と規定している、という意味あいを持つ。
⇒このような自由の観念は自然権の思想に基づいているので、憲法の中核をなす「根本規範」がこの自然権を実体化した人権規定であり、それを支える核心なる部分的価値は「人間における人格不可侵の原則」(個人の尊厳)を基礎とするものでなくてはならない。
2 制限規範性
※憲法自体が国家権力を制限する基礎法である、という意味である。
⇒憲法は自由の基礎法であるが、それと同時に、憲法が国家権力をも制限する基礎法でなくてはならないということを意味する。
これを憲法の制限規範というのである。
3 最高法規性
※憲法自体が国の法のなかでもっとも最上位にあって、憲法に反するような法は効力がない、という意味である。
(1)形式的根拠
①憲法は授権規範として他の法規範の上位に位置する。そうなると、当然のこと、権限を授けられた他の法規範は、自己の権限の根拠となっている憲法自体には違反しえないというものである。
②憲法を改正するために、法律の改正よりも困難な手続きが要求される硬性憲法においては、当然に、憲法は法律よりも強い形式的効力があるのである。
(2)実質的根拠
※最高法規としての憲法自体の本質は、憲法が実質的に法律と異にすることに求められる。要するに、憲法が最高法規であるというのは、その内容自体が、人間の権利および自由をあらゆる国家権力から人格不可侵のものとして保障する規範を中心として構成されているからである。これは、先ほど記した「自由の基礎法」であることが憲法の最高法規性の実質的根拠であることが一つ、そのほか、「実質的最高法規性」は、形式的最高法規性の基準をなし、憲法の最高法規性を真に支えるものであること、を意味するのである。
・憲法97条は、硬性憲法の建前(96条)や憲法の形式的最高法規性(98条)の実質的な根拠を明らかにした規定であるといえるのである。
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