民法第28条(管理人の権限)
管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
重要度3
解説等メモ書き
【解説】
※冒頭の「管理人」とは、不在者の財産管理人のことである(民法第25条1項を参照)。
・「第103条に規定する権限」とは、権限の定めの無い代理人の代理権限
⇒つまり保存行為と利用改良行為のことを意味する(詳細は民法第103条参照)。
※これを越える行為をするには家庭裁判所の許可を得なければならない。
つまり、不在者の財産管理人の権限は家庭裁判所の監督の下、きわめて抑制されたものであることがわかる。
※後段は、不在者の生死が明らかでない場合における、その財産管理人の権限を定めた規定である。
【解説】
※不在者の管理人の権限を定めた規定です。
※家庭裁判所の許可がなければ、民法103条に規定されている行為しかすることができない。
○民法103条
※権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
1.保存行為
2.代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
________________________________________
民法第29条(管理人の担保提供及び報酬)
1. 家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。
2. 家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる
重要度3
解説等メモ書き
【解説】
※29条1項は、管理人による財産の管理や返還の義務の担保について規定している。
○第1項
※不在者の管理人が、不在者の財産を自分のために使ったりしてしまった場合に備えて、家庭裁判所は、管理人に担保を提供させることができるとしたのが1項でである。
○第2項
※管理人は不在者の財産の中から相当額の報酬を貰うことがでることを定めたのが2項である。
【参考】
○民法第29条第1項(管理人の担保提供及び報酬)
解説
※趣旨
・本項は、管理人による財産の管理や返還の義務の担保について規定しています。
・家庭裁判所は、管理人が不注意や怠慢な管理で不在者の財産を損なわないように管理し、確実に不在者に対し返還できるように、相当の担保を立てさせることができる。
・本項により、不在者の財産について、管理人が杜撰な管理をしたり、返還しなかったりするようなことを防止している。
⇒なお、この担保の種類には、特に制限はない。
○民法第29条第2項(管理人の担保提供及び報酬)
解説
※趣旨
・本項は、管理人による財産の管理に対する報酬について規定している。
・家庭裁判所は、不在者の財産管理人と、不在者との関係その他の事情を考慮して、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。
※なお、無報酬であった場合であっても、管理人は、不在者に対し、少なくとも費用は請求することができる(家事審判法第16条)。
0コメント