民法条文整理 第22条~第27条

民法第22条(住所) 

各人の生活の本拠をその者の住所とする。 

 重要度2 

解説等メモ書き 

【解説】 

※自然人の住所についての規定である。  

○住所の効果 

1.不在者及び失踪の標準 

2.債務履行の場所 持参債務の履行地 

※民法第484条(弁済の場所) 

3.相続の開始地とされる 

4.手形行為の場所

5.国際私法における準拠法決定の標準 

6.裁判管轄の標準  


○住所の要件 

※以上の効果を見ることにより、住所の意義を考察すれば、「人が、そこを住所とする意思により画す(意思主義)」より「客観的に見た実際の活動の拠点(客観主義)」とみるのが妥当と言うことになる。 


民法23条(居所) 

1. 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。 

2. 日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法に定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。 


 重要度3 

解説等 メモ書き 

【解説】 

※居所と住所との関係を定めた規定である。 

 

1.「住所が知れない場合」とは、 

・日本国民の個人においては、外国に居住していないにもかかわらず、住民票の登録のないこと、又は、登録されている住民票の場所において居住が不能であること。 

・法人においては、登記されている場所において居住が不能であること。 

※「居住が不能」とは、住民票に登録された場所を第三者が居住し、その者を居住させる意思がないことを言う。

・住民票を残したまま、失踪をした者については、住所は未だ住民票のある場所と言うべき。  

・権利能力無き社団など、登記が不能な社団も含まれる。 


2.「居所」とは、「居住の事実がある場所をいう。」

⇒但し、法律的な効果を求めるものであるので、単に起居している事実ではなく、送達等の宛先となることを要す。  


【参考】 

※第1項の解説 

・本項は、住所がしれない場合の住所の定義について規定している。  

※住所がどこかわからない場合は、住所のように生活の中心の場所とまではいえなくても、実際に生活している場所(居所)を住所とみなすことになる。  

※第1項の規定はいわゆる「みなし規定」であり、本項が適用される場合は、反証があった場合であっても、住所についての法的な効果は居所に生じることとなる。

 

※第2項の解説 

・日本人であろうと、外国人であろうと、日本国内に住所、つまり生活の中心となっている

本拠がない者については、日本国内の居所、つまり実際に生活している日本国内の場所を、その者の住所とみなすこととなる。」  

※第1項は、住所が不明である場合の規定であるが、第2項は、住所は明らかであっても、その住所が日本国内にない場合の規定である。 

※第2項はいうなれば「みなし規定」であるため、外国に住所がある場合であっても、住所についての法的な効果は日本国内の居所に生じることとなる。 

 ※第2項にある準拠法とは? ⇒これは日本の法律が適用されない場合の規定のことです。  

※まず、「準拠法を定める法律」というのは「法の適用に関する通則法」という意味の法律のことです。 

⇒この法律に従うと、日本で裁判をする場合であっても、日本の法律を適用する場合と、外国の法律を適用する場合の両方の意味が出てくることとなる。  

※たとえば、外国人が取引を行ったり、取引の相手方が外国人である場合も外国法が適用される可能性がある場合もあるし、日本人が外国で何かを行った場合にもその可能性はでてくるのである。 

※そして通則法に従うと外国法が適用される場合で、その外国法が日本の民法23条と異なる定めをしていれば、居所以外が住所となる可能性があるという意味になる。 ________________________________________ 

民法第24条(仮住所) 

ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。


 重要度2 

解説等 メモ書き 

【解説】 

※住所の決定方法に関する規定の一つ。 

 【参考】 

※第24条は、仮住所について規定している。  

※ある行為の当事者が、その行為について仮住所を選定した場合は、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなすこととなる。 

⇒この第24条により、生活の中心となっている実際の住所(第22条参照)がある行為をおこなう際に不都合となる場合は、もっと都合の良いところに仮住所を選定し、その行為をおこないやすいようにできる。 

(例えば、地方在住の個人事業者が東京で事業をおこなう場合等に、その事業について東京の仮住所を選定したときは、その事業に関しては、東京の仮住所が住所とみなされることとなる。 ________________________________________ 

民法第25条(不在者の財産の管理) 

1. 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。 

2. 前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。 


 重要度3  

解説等メモ書き 

【解説】 

※不在者の財産管理人についての規定です。

⇒請求により処分を命ずるのであって、家庭裁判所の職権で処分や管理人の選任を行うことはできないとされる。 


 【参考1】 

※民法第25条第1項(不在者の財産の管理)

解説 

 ○条文の趣旨 

※本項は、管理人が置かれていない場合の不在者の財産管理について規定している。 

※従来の住所(第22条参照)または居所(第23条第1項参照)を去った者(不在者)が、あらかじめ財産を管理する者(管理人)を置かなかった場合は、家庭裁判所は、債権者や親族などの利害関係人または検察官の請求によって、その財産の管理について必要な処置ができる。  

※また、あらかじめ管理人を置いた場合であっても、本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同じように扱われる。

(例えば、財産の管理に関する委任契約が終了の場合などが、これに該当する)

 ※不在者が管理人を置いていない場合や管理人の権限が消滅した場合は、親族や契約の相手方(債権者)などの利害関係人が困る場合がでてくる。

⇒このような場合、親族や債権者は、不在者に無断でその財産などを処分することはできない。 

※このような場合、民法では、不在者や管理人がいないからといって、利害関係者が勝手にその不在者の財産を処分することは許されません(自力救済の禁止という)。  

※このため、本項により、家庭裁判所が不在者の財産について必要な処分を命じることとなる。 


【参考2】 

 ※また、不在者が、あらかじめ管理人を置いた場合であっても、本人の不在中に管理人の権限が消滅したり(例えば、財産の管理に関する委任契約が終了した場合)、もともと、不在者が管理人を置いていない場合、家庭裁判所は、債権者や親族などの利害関係人または検察官の請求により、その財産の管理について必要な処置ができるようになっている。  

※「不在者の財産管理(民法第25条)」は、不在者が「生存」しているものとみなして、不在者の財産管理に必要な処分を財産管理人に命じる制度である。  

⇒ちなみに、不在者が生死不明であるか否かは問われない。 

※相続人中、不在者がいる場合、この相続人(不在者)の生死不明を問わず、この相続人(不在者)に代わる財産管理人を選任し、家庭裁判所の許可(民法第28条)を得て、財産管理人は他の相続人と遺産分割を協議することができる(民法第907条)。 ________________________________________ 

民法第26条(管理人の改任) 

不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。 


 重要度3 

解説等 メモ書き 

※不在者自身が財産管理人を置いていた場合の規定。  


【参考】 

※管理人が置かれていた場合であっても、不在者の生死が不明であるときは、不在者による管理人の指揮監督ができなくなる。このように、不在者による管理人の指揮監督ができなくなると、その管理人による財産の管理が不適当となる可能性もでてくる。  

⇒このような状態となった場合、家庭裁判所は、債権者や親族などの利害関係人または検察官の請求により、不在者の財産の管理について、よりふさわしい管理人を改任することができる。 ________________________________________ 

民法第27条(管理人の職務)  

1. 前二条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。 

2. 不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。 

3. 前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる 


 重要度3 

解説等 メモ書き 

【解説】 

※民法上の不在者の財産管理に関する規定。 


 【参考】 

※民法第27条第2項(管理人の職務)

解説  

○条文の趣旨 

※本項は、不在者の生死が不明な場合における不在者が置いた管理人の目録作成の職務について規定している。 

※第27条第1項では、家庭裁判所が選任した管理人に課される目録作成義務を規定していますが、本項では、不在者が置いた管理人に課される目録作成義務について規定している。  

※不在者が置いた管理人であっても、本項にもとづく債権者や親族などの利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所から命令された場合は、管理すべき不在者の財産の目録を作成しなければならないとされる。

 

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