第12条 【自由、権利の保持の責任とその濫用の禁止】
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、 これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、 常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
重要度:2 メモ書き:
【解説】
・憲法が保障する人権を保持するために必要な、国民の責務を定めています。
・本条は、国民にとっての倫理的あるいは精神的指針としての意味をもつにすぎず、 国民は自由や権利が侵害されないように努力して、また自分の自由や権利の濫用によって他人を不当に侵害してはならないという 当然のことを規定したものであり、それ以上になんらかの具体的、法的義務を課したものではないとされている。
○参考
※趣旨 ・現在の憲法は、個人の尊重を重視し数多くの権利と自由を認めている。
⇒しかし、そこには義務と責任がある。本条は、それらを規定している。
・国民は、憲法が保障している自由と権利について、常にこれらを保持するよう努力しなければならない。また、国民はこれらを濫用してはならないし、常に公共の福祉のためにこれらを利用しなければならない。
・第97条にあるように、「基本的人権は人間が生まれながらにして持っている権利」であるが、決して何らの努力なく保持できるものではない。
⇒人類の多年の努力と犠牲があって、獲得できたものであるのである。
・また、本条が規定する義務は、道徳方針を指す倫理的義務でもある。
⇒そのため、直接明確な法的効果があるわけでなく、国民が自由と権利を放棄したり、これらを濫用したとしても直ちに刑罰の対象となるわけではない。
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