民法のお勉強 物権編 第7日

※不動産物権の公示(登記)

1 登記所・登記官

・不動産の所在地を管轄する法務局等が登記所であり(不登6条)、法務局等が指定する者が登記官である(同9条)。


2 表記に関する登記

・表示に関する登記は、不動産の物理的現況を明らかにすることを目的としており、権利に関する登記の前提となる。

⇒表示に関する登記には、次のようなものがある。

①表題登記

・当該不動産について、表題部に最初にされる登記をいう(法2条20号)。

⇒建物を新築した場合、登記が存在しないので、所有権保存登記の前提として建物表題登記の申請がなされる(法47条)。埋立て等によって新たに土地が生じた場合にも土地表題登記がされる(法36条)。

②変更登記

・登記事項に変更があった場合にされる登記をいう(法2条15号)。土地の地目・地積に変更があったとき、建物の種類・構造・床面積等に変更があったときは、変更登記がなされる(法37条、法51条)。

③更正登記

・登記事項に「錯誤又は遺漏」があった場合に、当該登記事項を訂正する登記をいう(法2条16号)。変更登記が、登記事項が事後的に変動した場合に行われるのに対し、登記事項が当初から誤っていた場合に行われる。

⇒また、土地の地目・地積等が誤っていたとき、建物の種類・構造・床面積等が誤っていたときは、更正登記がされる(法38条、法53条)。

④滅失登記

・土地又は建物が滅失したときにされる登記をいう(法42条、法57条)。

⑤分筆登記、合筆登記

・土地を分筆・合筆するために行われる登記である(法39条)。

⇒土地の分筆・合筆は所有者の意思に基づいて行われるものとされるので、原則として登記官が職権によって登記することはできない。

⑥建物分割登記、建物区分登記、建物合併登記(法54条1項1号ないし3号)

・附属の建物として登記されている建物を新たな登記記録に記録することを建物分割という。

・建物区分は、一棟の建物の内部に数個の区分建物としての要件を満たす建物があるときに、それぞれを区分建物の登記記録に記録する登記をいう。

⇒一般には、賃貸用のマンションを、分譲用のマンションに登記したいときに行うことになる。

・建物合併とは、主たる建物とその附属の建物の関係にある建物を1登記記録に記録することをいう。これらは、所有者の意思によって登記される。

⑦建物合体登記(法49条)

・合体とは、増築等によって2等のべつべつの建物を物理的に合体させ、1棟の建物にしてしまうことです。

俗に建物合体登記というのは、正式に言うと「合体による建物表題登記及び合体前の建物表題登記の抹消」といいます。

⇒つまり、合体前の2等の建物につき登記簿を抹消させて、合体後の建物につき新たに表題登記をするということになる。


(5)権利の関する登記

・権利に関する登記では、次のような事項が登記記録に記録される。

⇒不動産の売買や、抵当権が設定された場合を例にとると下記のようになる。


①登記の目的。

⇒「所有権移転」とか「抵当権設定」というもの(不動産登記法59条1号)。


②申請の受付年月日及び受付番号。

・「平成19年8月1日第1234号」というように表示される。

⇒権利に関する登記は、他に先んじて登記がされるか否かが非常に重要になるが、申請の受付年月日及び受付番号によって、その優先順位を究極的に公示している(同法同条2号)。


③登記原因とその日付。

・登記原因とは、登記をして公示すべき変動を発生させている原因をいう。

⇒例えば、平成20年●月●日に締結された売買契約によって不動産の所有権が移転したときは「原因 平成20年●月●日売買」、抵当権が設定されたときは「原因 平成20年●月●日設定」と記録される(同法同条3号)。


④登記される権利の登記名義人の表示。

・所有権移転登記であれば所有者を、抵当権設定登記であれば抵当権者を公示する。

※登記名義人が自然人であれば同人の住所・氏名、法人であればその名称・事務所の所在を記録する。なお、当該権利が共有又は準共有の場合には、その持分割合を「持分2分の1」というように記録する(同法同条4号)。


⑤登記の目的である権利の消滅に関する定めがあるときはその定め。

・登記原因たる法律行為に解除条件又は終期を付した場合に、当事者がこれを第三者に対抗することを意図するときは、これを登記事項とすることができる(同法同条5号)。


⑥当該不動産又はそれに関する権利が共有又は準共有の場合、当事者は原則としていつでも分割することができる。

⇒しかし、分割をしない旨の当事者間の合意(256条1項ただし書き)、分割を禁ずる遺言(908条)、家庭裁判所の審判があるときは、これを登記することができる(不動産登記法59条6号)。


⑦権利に関する登記の申請を申請適格者自らではなく、第三者(代位者)が同人に債権者代位権の行使等の規定により代位をして行ったときは、代位者と代位原因を公示する(同法同条7号)。


⑧申請の受付年月日及び受付番号のほかに、権利の順位を明らかにするために必要な事項として、不動産登記規則147条で定める順位番号及び符号(順位事項という。不動産登記令2条8号)。


【その他】

・用益権に関する登記(不動産登記法78条以下)、担保権等に関する登記(同83条以下)、信託に関する登記.(同97条以下)、仮登記に関する登記(同105条以下)、仮処分に関する登記(同111条以下)、官庁・公署に関与する登記.(同115条以下)が登記事項とされる

※権利に関する登記は、売買による所有権移転登記のような場合には、当事者双方の共同申請主義とされるが、判決による登記(同63条1項)および相続による登記(同条2項)は、単独で申請できることになっている。建物の新築の場合の所有権保存登記も同様である。


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