民法第8条(成年被後見人及び成年後見人)
後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
重要度3
解説:メモ書き
※成年被後見人にはどの人物が該当するかについて規定するとともに、それに成年後見人が付されるべきことを規定している。
〈注釈〉
1 後見開始の審判の効果(第8条)
※後見開始の審判がなされると、成年後見人が置かれる。
⇒成年後見には、代理権・追認権・取消権を有するが、同意権はない。
※成年後見人は、家庭裁判所が職権で選任する(843条1項)。
⇒必要に応じて複数人選任でき(同条3項)、法人を選任することも可能(同条4項)。
○登記
※後見開始の審判がなされると、「後見登記等に関する法律」により被後見人について成年後見登記がなされる。
⇒旧法において、禁治産者は戸籍に記載されたが、被後見人の事実は戸籍に記載されない。また、新法施行後、新法施行前に禁治産者の認定があったものは、法令により後見登記がなされており、戸籍からは、本人・配偶者等の申請により禁治産の事実を抹消することができる。
※後見登記事実について閲覧はきびしく制限されており、本人他一定の関係者のみが登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の発行を法務局に求めることができる。
・なお、成年後見人は、成年被後見人の財産の管理についての代理権を有しています(第859条)。
○参考条文
民法843条・859条など
民法第9条(成年被後見人の法律行為)
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
重要度3
解説:メモ書き
※成人の被後見人(旧法の禁治産者に相当)の法律行為の制約を定めた規定である。
⇒かつては全面的に取り消しうるとされていたが、近時の改正により日用品の購入その他日常生活に関する行為については行為能力が認められるようになった。
1 財産上の行為
※成年被後見人のした行為は、原則として成年後見人の同意の有無にかかわらず、取り消しうる。
・成年被後見人は、日常生活に関する行為以外のすべての財産行為で、行為能力を有せず、成年後見人の同意を得て行った行為も、常に取り消すことができる。
・成年被後見人が契約締結時に完全な意思能力を有していたとしても、取り消せる。
・意思能力を欠くが後見開始の審判を受けていない者の行為は無効。
・「日常生活に関する行為」とは、本人が生活をするうえで、通常必要な法律行為を意味する。その具体的範囲は各人の程度により、個別に判断される。
※食料品、衣料品の購入、公共料金の支払いなど
2 身分上の行為
※成年被後見人が本心に復し、意思能力が認められれば、有効に婚姻(738)、協議上の離婚(764)ができることになる。
そのほか
・取り消すことができる行為の取り消し(9、120)
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