憲法のお勉強 第16日②

2 基本的人権の権利としての性格

 基本的人権の観念

  人権 ①背景的権利

     ②法的権利

     ③具体的権利


(1)背景的権利

※背景的権利とは、「それぞれの時代の人間存在にかかわる要請に応じて種々主張され」というように。その時代時代の背景から、社会的要請に応じて度々又は頻繁に主張されてい

く「権利のようなもの」が形成されていきます。

※この段階ではまだ憲法上で保障され得る人権とは言えない段階である。


(2)法的権利

※法的権利を生み出す母体として機能する権利であり、法的権利としての人権とは、「主として憲法規定上根拠をもつ権利」のことである。

⇒段階を踏んできた人権として、環境権、プライバシー権がそれに当たると言っていいのだが、この段階になると、「法的権利」と呼ばれていて、法規範性というものを持っています。

すべてが裁判的な人権救済ができる、すなわち、裁判規範性があるわけではない。

つまり、このような人権が出来上がるには法整備が必要ということになる。


(3)具体的権利

※法整備が必要な人権を「抽象的権利」、直接裁判的救済を求めることが出来る人権を「具体的権利」という。

⇒プライバシー権、環境権で言えば、プライバシー権は日本国憲法第13条の幸福追求権、環境権は13条と25条の生存権で保障されていると言われ、それぞれ「個人情報保護法」等、環境基本法、家電リサイクル法等の法整備などがある。

・プライバシー権、環境権は具体的権利と言っていい人権になる。


3 プログラム規定

(1)意義

※憲法や基本法などの上位法においてよく見られる、政策についての指針を示す条項である。当該条項は、裁判所または行政庁の職務行為に対する命令の性質を持つ訓示規定であるのだが、個々の主体の行為や手続きに対する具体的な法的強制力を持たないとの考え方が一般的である。

⇒そのため、個々の主体の行為や手続きに効力に影響を及ぼすためには、立法府による実体規定を有する個別法の制定を必要とされる。


(2)問題点

※憲法の特定の人権規定に関して、形式的に人権として法文においては規定されていても、実質的には国の努力目標や政策的方針を規定したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではないとする考え方があること。

⇒この考え方に立てば当該法文に裁判規範性はないとされる。生存権や教育権などで問題になる。


4 制度的保障

(1)意義

※一定の制度に対して立法によってもその核心ないし本質的内容を侵害することができないという特別の保護を与えて、もって人権保障を強化しようとするものです。

⇒つまり、制度を保障することによって、人権を間接的に保障することを意味する。


【特徴】

※統的な制度的保障は、人権保障に奉仕する機能を常に確保するとは限られず、むしろ制度を人権に優越させることによって、人権保障を弱めてしまう可能性もあります。

⇒今日にある大問題がそれである。


※制度の核心ないし本質的内容ではないとして、法律による大幅な人権規制を許容する危険性があり、例えば、私有財産制度を財産権に優越させることにより、個々の財産権の保障を弱める可能性もありえるという現実が見え隠れする。

⇒そのために、制度的保障を認めるとしても限定的に認めるべきだとの主張もなされているのが今日の主張である。


(2)日本国憲法における制度的保障

※日本国憲法における規定として、具体的には政教分離原則(日本国憲法第20条第3項)・大学の自治(同第23条)・私有財産制(同第29条1項)・地方自治(同第8章)などが挙げられる。


(3)問題点

※日本国憲法のもとでは「法律の留保」は否定されています。制度を保障しなくても、人権自体がしっかりと保障されているというものです。

⇒であるので、現在は制度的保障はむしろ有害であるとすら言われています。制度の核心以外を、法律で制限する根拠になりかねないという意見がみられる。


※もっとも、(1)制度の核心が明確で、(2)人権との結びつきが密接ならば、その制度を保障することで人権の保障を強化できるという意味がある。



かいひろし法律の部屋

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