第3節 法律の留保
1 法律による行政の原理
※法律による行政の原理の内容は、三つに分けられる。
⇒法律の法規創造力の原則、法律の留保の原則、法律の優位の原則である。
① 法律に法規創造力の原則
※法律によってのみ法規を創造することができるということ。
⇒、「国会で制定する法律だけが、国民の権利義務に関する規律である法規を創造出来る。」という原則を意味する。
② 法律の留保の原則
※ある種の行政活動を行う場合に,事前に法律でその根拠が規定されていなければならないとするものである。
③ 法律の優位の原則
※行政活動は法律に違反して行われる行政活動はしてはならないことを意味する。
⇒そして、行政活動と法律が矛盾・衝突する場合には法律が優先し、法律の定めに違反する行政活動は効力を失うことになる。
2 法律の留保の範囲
①権力留保説
※公権力の行使として行われる行政活動には、法律の根拠が必要であるとする見解である。
⇒侵害的行政活動であるか、受益的行政活動であるかを問わず法律の根拠を要求する。
(現在の有力説である)
②侵害留保説
※個人の権利または自由の侵害にわたる場合に法律の根拠が必要であるとする見解である。
⇒補助金の交付などの授益的行政活動については、法律の根拠は不要であるとする。
(判例・実務での見解。)
③本質留保説
※侵害留保説を中核としながら、国土開発計画のような基本的人権にかかわりのある重要な行政活動において、その基本的内容については、法律の授権を必要とする見解である。
④全部留保説
※行政活動の全部においての法律の授権を必要とする見解である。
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