憲法のお部屋です。
第一日目は、憲法総論から憲法の意味を解説していきたいと思います。
まず憲法とは、基本となるきまりのことです。
特に、国家の統治体制の基礎を定める法であり、国家の根本法のことを意味します。
1 憲法の多義性
これには事実的意味の憲法と、形式的意味の憲法と、実質的意味の憲法に区分されます。
まず、事実的意味の憲法の解説から
①事実的意味の憲法
※政治的統一体として形成された国家の具体的な存在状態をいい、ないしは、国家のときどきにおける政治状態のことをいう、その事実的なものをいいます。
⇒理論的な概念でもいいし、法的概念でもいいといわれています。
その次は形式的意味の憲法の解説です
②形式的意味の憲法
※憲法という法形式をとって存在する成文形式のことで、すなわち憲法典のことをいいます。
⇒憲法の存在「形式」に着目した概念のことです
※たとえば、イギリスには成文憲法がないといわれる場合の「憲法」は、形式的意味の憲法を意味します。
その次は、実質的意味の憲法の解説です
③実質的意味の憲法
※ある特定の内容を持つ法を指して憲法と呼ぶ場合をいう。
⇒成文憲法か不文憲法か、憲法典の形をとっているか、という憲法の存在形態とは関係なく、その内容に着目した概念です。
これは、固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法に区分されます。
a 固有の意味の憲法
※国家の統治の基本を定めた法としての憲法をいいます。
⇒いかなる時代や、いかなる国家であっても必ずそれが存在するというものです。
b 立憲的意味の憲法
※専断的な権力を制限して、国民の自由を保障しようという考えを基本理念とする憲法のことです。
1 自由の保障
2 権力の制限
を可能とする統治機構として権力分立制度を採用することが要求されます。
※根本規範としての憲法とは、
人間人格不可侵の原則(すべての個人が人間として有する人格を不可侵のものとし、これを相互に尊重する原理)を中核とする価値体系である、人権規範のことです。
⇒実体的な規範で、成文憲法すべてに妥当します。
2 憲法の法源
※憲法の法源とは、実質的意味の憲法をその存在形式に着目して捉えた概念のことをいい、憲法の存在形式といいます。
①成文法源
※実質的意味の憲法が成文化されるとき、憲法典という形式で行われるのが普通である。しかし、憲法典にすべての規定を置くことはほとんど不可能なので、必ずしも好ましいことでもないのです。
⇒そこで、憲法典では原則的なことを定めるのみで、より具体的な定めはほかの法の形式に委ねざる負えません。
そういうこともなり日本国憲法の成文法源としては、以下のものがある。
a 条約
※国家間同士の、文書による合意のことを条約という。
b 法律
※法律とは、国家が制定する法規範の存在形式のことをいう。
⇒具体的にいうと、私たち国民の権利や義務に関する一般的規律は国が制定するという意味です。
c 規則
※人が従うべき準則であり、主に文章によって規定されているものをいう。なお、規則に定められたものを原則、または本則とも呼ぶ。
d 条例
※日本の現行法制において地方公共団体が国の法律とは別に定める自主法のことである。
②不文法源
※不文法源とは、実際に文書として制定されておらず、暗黙の了解のような観念である法源をいう。
⇒慣習法、判例法がこれにあたる。
a 憲法慣習
※まず慣習とは、人が行為をおこなう際に、自然と暗黙の了解で従うようになった一定の様式を慣習という。
⇒そして、慣習が民衆の確信に支えらて、法として効力を十分に認められるまでに高められたものを慣習法という。
(例えば、法令の交付は官報ををもってすること、が慣習法として認められている。)
b 憲法判例
※裁判の先例のうちに見出される法規範のことをいう。不文法の一種で,イギリスのコモン・ローがその典型である。
⇒イギリス,アメリカでは,判例法は実定法としての拘束力をもち,法体系の重要部分を構成している。
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