憲法条文整理 第25条

第25条【生存権、国の社会的使命】
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


重要度:3
メモ書き:
【解説】
・国民は誰でも、人間的な生活を送ることができることを権利として宣言しています。生存権は、社会権の中でも最も原則的な規定といえます。国民は自らの手で 文化的な最低限度の生活を維持する自由を有し、公権力はそれを阻害してはなりません。ただ、国民は国家に対してそのような最低限度の生活の実現を求めることができるかということについては争いがあります。
 
・代表的な朝日訴訟の上告審(*1)においては、判例は次のように判示しています。
 
・「憲法25条1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを 国の責務として宣言したにとどまるのであって、具体的権利を付与したものではない。具体的権利は、生活保護法によってはじめて与えられている。」
 *1 最判昭42.5.24


○重要判例
食糧管理法違反(最高裁判例 昭和23年12月01日)憲法76条、憲法81条
朝日訴訟(最高裁判例 昭和42年5月24日)
三井美唄労組事件(最高裁判例 昭和43年12月04日)憲法15条1項、憲法28条
堀木訴訟(最高裁判例 昭和57年7月7日)憲法13条、憲法14条
塩見訴訟(最高裁判例 平成1年3月2日)
厚木基地公害訴訟(最高裁判例 平成5年02月25日)


○学説
※抽象的権利説
・抽象的権利とは、25条は一応法的な権利ではあるが抽象的な権利にとどまるため25条を直接根拠として請求は出来ず、法律があって初めて具体的な法的権利が発生する、とする見解。


※具体的権利説
・法律が存在するときは25条を根拠として違憲の主張も出来るし、法律が存在しないときは直接25条を根拠に立法不作為を問うことが出来る点が違います。
つまり、生存権をより確かに保障ができるのです。


○参考条文
・憲法第13条(幸福追求権)
・生活保護法



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